私は歳をとったみたい。

ある日のバイトでこんなことがありました。

 

 

高3になる新人さんが入ってきました。

初めてのアルバイトということで右も左も分からない状態です。

私は新人教育係なので付きっきりで教えることになりました。

 

新人さんは男の子で名前を幸太(仮名)と言います。幸太くんは運動があまり好きではなくて、ロボットを作ったりゲームをするのが好きらしいです。

 

私とは趣味が全く合わないけれど、話すことが好きな私は仲良くやれていると思います。

接客はまだ緊張してしまうようですが、ハンディ(ファミレスなどで注文を受ける際に使う機械)の扱いを覚えるのも早くて、いい調子です。

 

そんな彼を馬鹿にする社員、大橋(仮名)さんがいます。大橋さんは幸太くんをオタクだと言います。ただ言うならいいのですが、小馬鹿にした声のトーンで言うのです。

他にも

 

「ストーカー基質あるよね」

「彼女いるの?って聞いたら別れたとか言ってたけど嘘っぽいんだよね(彼女とかいたことないでしょという感じで)」

 

など、会って4、5日ですごい言い草です。ろくに会話もしていないのに、よくそんなことが言えるなと思います。また、それをこっそり私に言ってくるのがとても不快です。

 

36歳にもなって中身は中学生。

 

「そういうのやめた方が良いですよ」と言うと言い訳がましく、

 

「きっとストーカー基質があるって言っただけだよ(笑)思い詰めるタイプってやつ?(笑)」

と。さらには

「だってあんなオタクで彼女いると思う?」

とまで言うのです。

 

言いたいやつには言わせておけばいいと世の中の人は言いますが、私はこの時無性に悲しくなりました。言いたいことを言わせて、今回の私のように無関係な立場の者に不快感を与えることがあるとしたら、それはどうなのだろう。幸太くんに同情している訳ではなく単に私が辛くなりました。以前は あぁ、あの子悪口言われてる、くらいにしか思わなかったはずなのにこの時は違いました。私は人の悪口を聞いて悲しくなるほど成長したのだな。歳をとったのだな。そう感じました。

そして、大橋さんは体の成長のスピードに中身の成長が遅れをとったのだな。まだ心は子供なのだな。とも感じました。

 

 

自分の成長を感じられた瞬間

他人の成長が感じられなかった瞬間

 

 

神様は意地悪だ。こんな正反対の瞬間を同時に体験させるなんて。

 

 

歳をとるって一体なんだろう、